四季美人之図2023年12月30日 23:03

絹本着色(四幅軸装)。大正2年と箱書きにある。 「四季美人之図」は、近代的美人画に属するものとなっている。四幅対の作品は、商家の女性をモデルに描いたもので、大正時代のやや古風な女性像になっている。まず冬というか初春の大福茶を運ぶ羽織の若妻のような女性、緊張気味な表情が初々しい。春は、枝垂れ桜の下での二人連れ、扇子を広げて間を持たせている。姉妹なのか、いとさんとお付きの人なのか、着物からは若干の歳の差を感じさせる。そして、若奥さんが衝立の埃を払って夏の到来を感じさせる夏の一幅。秋は、年の離れた姉に子供が何か言っている。気になっている人が通りがかったのかもしれない。穏やかな秋の一日、そんな良き時代の思い出のような、何か物語を背景に持つ美人画である。

コメント

_ 陣内淳介 ― 2024年01月04日 21:35

着物の柄に物を言わせているところがにくい趣向ですね。総体に、上品な日常性が魅力です。

_ 小林弘明 ― 2024年01月08日 00:13

陣内さん、コメントありがとうございます。春嶺の着物の文様については、私も注目しておりました。この作品については、なぜかノーチェックでした。改めて見ると不明な文様もあり、調べてみます。

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